
両立支援等助成金とは
「両立支援等助成金」とは、仕事と育児・介護等との両立を支援するために、職場環境の整備や制度導入等に取り組む事業主に対して支給される厚生労働省所管の助成金制度です。
従業員のライフステージや働き方に応じて以下の6つのコースが設けられており、労働者の職業生活と家庭生活の調和を図ることで、就業継続や離職防止を促進し、結果として雇用の安定と企業の持続的成長に資することを目的とした制度です。
- 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
- 介護離職防止支援コース
- 育児休業等支援コース
- 育休中等業務代替支援コース
- 柔軟な働き方選択制度等支援コース
- 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)は、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備を行った上で、男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得した場合や、男性の育児休業取得率が上昇した場合など、子育て支援を行った事業者に対して助成される制度です。
支給要件
出生時両立支援コースでは、以下の2つの種類が設けられており、それぞれの要件を達成した場合に助成金が支給されます。
主な支給要件は以下となります。
- ・第1種
-
- 育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置を複数実施すること
- 育児休業取得者の業務代替者の業務見直しに係る規定等を策定し、業務体制の整備を実施すること
- 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する一定日数以上の育児休業を取得させること
- ・第2種
-
- 申請年度の前事業年度の男性労働者の育休取得率が、前々事業年度と比較して30%以上UP&育休取得率50%以上であること
- 申請年度の前々事業年度で子が出生した男性労働者が5人未満かつ申請前事業年度と前々事業年度の男性労働者の育休取得率が連続70%以上であること
支給額
支給額 | |
---|---|
第1種 | 1人目:20万円 ※雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合は30万円 |
2人目・3人目:10万円 | |
第2種 | 申請年度の前年度を基準として30ポイント以上上昇し、50 %以上となった場合等:60 万円 |
育児休業等に関する情報公表加算:2万円 ※第1種(1~3人目のいずれか)または第2種のいずれか1回限り加算 |
介護離職防止支援コース
介護離職防止支援コースは、労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰に取り組み、労働者が介護休業を取得した場合や、介護両立支援制度を利用した場合などに受給できる助成金です。
「介護休業」、「介護両立支援制度」、「業務代替支援(新規雇用、手当支給等)」の3つの種類が分けられており、実施する内容によって助成額が設けられています。
支給要件
介護離職防止支援コースの主な支給要件は以下となります。
- ・介護休業
-
- 介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針の社内周知していること
- 労働者との面談を実施し、プランを作成・実施していること
- 対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得し、復帰後も支給申請日まで継続雇用していること
- ・介護両立支援制度
-
- 介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針の社内周知していること
- 労働者との面談を実施し、プランを作成・実施していること
- 介護両立支援制度を対象労働者が一定基準以上利用し、支給申請日まで継続雇用していること
- ・業務代替支援
-
(1)新規雇用
・対象労働者が介護休業を連続5日以上取得し、業務代替要員を新規雇用または派遣受入で確保していること(2)手当支給等
・業務を代替する労働者への手当制度等を就業規則等に規定していること
・対象労働者が介護休業を連続5日以上取得または短時間勤務制度を合計15 日以上利用し、業務代替者への手当等が支給されていること
支給額
種別 | 支給額 | 支給人数/回数 |
---|---|---|
介護休業 | 40万円 ※連続15 日以上の休業の場合、60 万円 | 1事業主 5人まで |
介護両立支援制度 | ・制度を1つ導入し、対象労働者が制度を利用した場合20 万円(30 万円) ・制度を2つ導入し、対象労働者が制度を利用した場合25 万円(40 万円) | 1事業主 5人まで |
業務代替支援 | ・新規雇用20 万円(30 万円) ・手当支給等(介護休業)5万円(10 万円) ・手当支給等(短時間勤務)3万円 | 1事業主 5人まで |
環境整備加算:10 万円※1 事業主あたり1回に限り加算 |
育児休業等支援コース
「育児休業等支援コース」は、仕事と育児の両立支援を目的とした制度で、企業が育児休業を取得しやすい雇用環境を整備し、労働者が育児休業を取得した場合に受給できる助成金です。
育休取得時と職場復帰時と2つの種別が設けられています。
支給要件
育児休業等支援コースの主な支給要件は以下となります。
- ・育休取得時
-
- 育児休業の取得・職場復帰支援に関する方針が社内周知されていること
- 労働者との面談を実施し、プランを作成・実施していること
- 対象労働者の育児休業(引き続き休業する場合は産前休業)の開始日の前日までに、業務の引き継ぎを実施し、対象労働者が連続3か月以上の育児休業(引き続き休業する場合は産後休業を含む)を取得していること
- ・職場復帰時
-
- 対象労働者の育児休業中に職務や業務の情報・資料の提供を実施していること
- 育児休業終了前にその上司または人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録していること
- 対象労働者を原則として原職等に復帰させ、申請日までの間6か月以上継続雇用していること
支給額
種別 | 支給額 | 支給人数/回数 |
---|---|---|
育休取得時 | 30万円 | 1事業主2回まで (無期雇用労働者・有期雇用労働者 各1回) |
職場復帰時 | 30万円 | 1事業主2回まで (無期雇用労働者・有期雇用労働者 各1回) |
育児休業等に関する情報公表加算:2万円 |
育休中等業務代替支援コース
育休中等業務代替支援コースは、育児休業取得者や短時間勤務者の業務を代わりに行う労働者に手当を支給、
または代替要員を新規雇用(または派遣で受入)した場合に受給できる助成金です。
手当支給等(育児休業)、手当支給等(短時間勤務)、新規雇用(育児休業)の3つの種別が設けられています。
支給要件
育休中等業務代替支援コースの主な支給要件は以下となります。
- ①手当支給等(育児休業)
-
- 代替業務の見直し・効率化の取組を実施していること
- 業務を代替する労働者への手当制度等を就業規則等に規定されていること
- 対象労働者が7日以上の育児休業を取得し、復帰後も支給申請日まで継続雇用されていること
- 業務を代替する労働者への手当等が支給されていること
- ②手当支給等(短時間勤務)
-
- 代替業務の見直し・効率化の取組を実施していること
- 業務を代替する労働者への手当制度等を就業規則等に規定されていること
- 対象労働者が短時間勤務制度を1か月以上利用し、支給申請日まで継続雇用されていること
- 業務を代替する労働者への手当等が支給されていること
- ③新規雇用(育児休業)
-
- 育児休業を取得する労働者の代替要員を新規雇用または派遣受入で確保
- 対象労働者が7日以上の育児休業を取得し、復帰後も支給申請日まで継続雇用
- 代替要員が育児休業中に業務を代替(業務を代替した期間に応じ、助成金支給額が変動)
支給額
種別 | 支給額 | 支給人数/回数 |
---|---|---|
手当支給等 (育児休業) | 1.業務体制整備経費:最大20万円 2.業務代替手当:最大120万円(手当支給総額の3/4) | ・1事業主1年度につき 各種別の合計で10 人まで ・初回の対象者が出てから5年間 |
手当支給等 (短時間勤務) | 1.業務体制整備経費:最大20万円 2.業務代替手当:最大108万円(手当支給総額の3/4) | |
新規雇用 (育児休業) | ・7日以上14 日未満:9万円 ・14 日以上1か月未満:13.5 万円 ・1か月以上3か月未満:27 万円 ・3か月以上6か月未満:45 万円 ・6か月以上 :67.5 万円 ※プラチナくるみん認定事業主は割増支給あり | |
有期雇用労働者加算 10 万円 | ||
育児休業等に関する情報公表加算2万円 |
柔軟な働き方選択制度等支援コース
柔軟な働き方選択制度等支援コースは、柔軟な働き方選択制度等を複数導入した上で、対象労働者が制度を利用した場合に受給できる助成金です。
支給要件
柔軟な働き方選択制度等支援コースの主な支給要件は以下となります。
- 柔軟な働き方選択制度等を2つ以上導入
- 柔軟な働き方選択制度等の利用に関する方針の社内周知
- 労働者との面談を実施し、プランを作成・実施
- 制度利用開始から6か月間の間に、対象労働者が柔軟な働き方選択制度等を一定基準以上利用
なお、柔軟な働き方選択制度等は以下の中から選択します。
- フレックスタイム制度、時差出勤制度
- テレワーク等
- 短時間勤務制度
- 保育サービスの手配、費用補助制度
- 子の養育を容易にするための休暇制度、法を上回る子の看護等休暇制度
支給額
支給要件 | 支給額 | 支給人数/回数 |
---|---|---|
制度を2つ導入し、対象者が制度利用した場合 | 20万円 | 1事業主1年度につき5人まで |
制度を3つ以上導入し、対象者が制度利用した場合 | 25万円 | |
育児休業等に関する情報公表加算:2万円 |
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースは令和7年度に新たに設けられた制度で、不妊治療、月経(PMSPMS(月経前症候群)含む。)や更年期といった女性の健康課題に対応するために利用可能な両立支援制度を利用しやすい環境整備に取り組むとともに、不妊治療や女性の健康課題に関する労働者の相談に対応し、それぞれに対応する両立支援制度を労働者が利用した場合に受給できる助成金です。
支給要件
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースの主な支給要件は以下となります。
- 両立支援制度、制度利用の手続きや賃金の取扱い等を就業規則等に規定されていること
- 労働者からの相談に対応する両立支援担当者を選任されていること
- 対象労働者(制度利用の開始日から申請日まで雇用保険被保険者として継続雇用)が両立支援制度を合計5日(回)利用していること
支給額
支給額 | |
---|---|
不妊治療 | 30万円 |
女性の健康課題対応(月経) | 30万円 |
女性の健康課題対応(更年期) | 30万円 |
まとめ
労働力人口の減少により、人手不足が深刻化するなかで、従業員が育児や介護などのライフイベントと仕事を両立しながら、安心して長期的に就業を継続できる職場環境の整備は、企業にとって極めて重要な経営課題となっています。
両立支援等助成金は、そうした両立支援の取組を具体的かつ計画的に進める事業主に対して支給される制度であり、職場の体制整備や柔軟な働き方の導入を後押しする有効な手段です。
本制度を積極的に活用することで、従業員の定着やモチベーション向上を図り、結果として企業全体の生産性や持続可能性の向上につなげていくことが期待されます。
両立支援等助成金のご相談なら
当事務所では、業務改善助成金の申請書作成支援・提出代行を行っております。「うちでも申請できるのかな?」「どんな準備が必要なんだろう?」など、気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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両立支援等助成金の申請サポート地域
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