キャリアアップ助成金に「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新設されました

近年、働き方の多様化が進む中で、パートタイムで働く従業員の就労時間を延ばし、安定した雇用へとつなげる取り組みが注目されています。その一つとして、厚生労働省が実施するキャリアアップ助成金に「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新たに新設されました。
※この助成金は労働者個人に支給されるものではなく、事業主に対して支給される制度となります。

目次

キャリアアップ助成金 短時間労働者労働時間延長支援コースとは

「キャリアアップ助成金 短時間労働者労働時間延長支援コース」とは、令和7年7月1日から新設された制度で、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するため、正社員転換や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。

特に「130万円の壁」と呼ばれる問題、すなわち被用者保険の適用により労働者の手取り収入が減少することを防ぎ、働き控えの解消を図るため、賃上げや労働時間の延長を通じて労働者の収入を増加させる事業主を支援することが目的とされています。

助成額

労働者を新たに社会保険に加入させるとともに、収入増加の取り組みを行った事業主に対して助成されます。
支給申請は取組内容に応じて2回行うことができます。

・1年目の取り組み

要件1人当たり助成額
週所定労働時間の延長賃金の増額小規模企業中小企業大企業
5時間以上50万円40万円30万円
4時間以上5時間未満5%以上
3時間以上4時間未満10%以上
2時間以上3時間未満15%以上

※小規模企業とは、常時雇用する労働者の数が常態として「30人以下」の企業

・2年目の取り組み

要件1人当たり助成額
週所定労働時間の延長賃金の増額小規模企業中小企業大企業
労働時間を更に2時間以上延長25万円20万円15万円
基本給を更に5%以上増加または昇給、賞与または退職金制度の適用

対象となる従業員

申請の対象となる従業員は、社会保険の加入要件を満たさない条件で就業している労働者であり、週所定労働時間を一定時間延長して新たに社会保険の被保険者となる方で、以下の①②の両方に該当する必要があります。
①社会保険加入日の6カ月前の日以前から継続して雇用されている
②社会保険加入日から過去2年以内に同じ事業所内で社会保険に加入していなかった

なお、週所定労働時間の延長等を行った事業所の事業主、または取締役の3親等以内の親族以外の者である場合は対象とはなりません。

パート・アルバイトの社会保険の加入要件

パート・アルバイトの社会保険の加入要件は、企業の従業員数によって異なります。

・従業員50人以下の企業等の場

・週所定労働時間および月所定労働日数が正社員の4分の3以上であること
・2カ月を超えて働く予定があること

・従業員51人以上の企業等の場合

・週の所定労働時間が20時間以上であること
・所定内賃金が月額8.8万円以上であること
・2カ月を超えて働く予定があること
・学生ではないこと

申請手続きの流れ

申請手続きは、コース実施の前日までに、キャリアアップ計画書を作成して、管轄の労働局に提出する必要があります。(現行の「社会保険適用時処遇改善コース」の計画書を提出している場合は提出の必要はありません。)

まとめ

労働力人口の減少が進む中、パート・アルバイト人材の有効活用は、多くの企業にとって喫緊の課題となっています。従業員にとっても、社会保険に加入することで将来への安心感を持ちながら継続的に就労できる環境が整います。
もし、労働時間の延長により新たに社会保険に加入される方がいらっしゃるようであれば、こうした助成金の活用も前向きにご検討されてはいかがでしょうか。

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