外国人雇用の基本的な注意点
外国人を雇用する際は、入管法や就労ビザに関する規定を正しく理解し、これに基づいて適切な手続きを行うことが求められます。
もし外国人労働者に適切なビザがなく、不法に就労させてしまった場合、不法就労した外国人本人だけでなく、それを黙認または助長した雇用主も「不法就労助長罪」として処罰される可能性があります。
外国人労働者の雇用は、適切な手続きを行うことで、企業にも労働者にも大きなメリットをもたらします。以下のような点にご注意ください。
在留資格の確認の重要性
外国人を雇用する企業は、在留資格を確認することが必要です。
在留資格によって、外国人が行える業務や労働時間に制限が設けられています。例えば「留学」や「短期滞在」の在留資格では就労が原則的に禁止されています。
また、外国人が取得した在留資格によって就労可能な業務が決められており、在留資格が適切でない場合は外国人だけではなく会社も不法就労助長罪に問われる可能性があります。
在留外国人の在留資格は在留カードで確認できます。雇用する際には必ず在留カードの原本で取得している在留資格と在留期限を確認してください。
就労可能な業務内容の把握
在留資格によって、外国人が従事できる内容は異なります。
外国人労働者を雇用する際には、その外国人の在留資格で認められている活動範囲を理解することが必要です。
現在、在留資格は29種類あり、大きく分けて「身分または地位に基づく在留資格(活動制限なし)」と「就労が認められる在留資格(活動制限あり)」があります。主な在留資格は下記となります。
就労が認められる在留資格
在留資格 | 該当例 |
---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 機械工学等の技術者、プログラマー、通訳、デザイナー、語学学校の講師等 |
企業内転筋 | 外国の事務所からの転勤者 |
介護 | 介護福祉士等 |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者等 |
高度専門職 | ポイント制による高度人材 |
経営・管理 | 企業等の経営者、管理者等 |
法律・会計業務 | 弁護士、公認会計士等 |
医療 | 医師、歯科医師、看護師等 |
研究 | 政府関係機関や企業等の研究者等 |
技能実習生 | 技能実習生 |
身分・地位に基づく在留資格
在留資格 | 該当例 |
---|---|
永住者 | 永住許可を受けた者 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者・実子・特別養子 |
永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者、日本で出生して引続き在留している実子 |
定住者 | 日系3世、外国人配偶者の連れ子等 |
雇用条件の明確化
外国人労働者との間では、文化や慣習の違いから誤解が生じることが多々ありますので、雇用条件等を明確に文書化することでトラブルを未然に防ぐことができます。
特に下記の点に注意ください。
①労働条件を外国人労働者が理解できる言語で明示する
②給与の総支給額だけでなく、税金や社会保険等の控除項目、手取り額について明確にする
③契約内容について十分な説明を行い、相互理解を深める
法的手続きと確認事項
外国人を雇用する際には、いくつかの重要な手続きや確認事項があります。
外国人が働くための適切なビザの取得、労働契約の締結、給与や勤務条件を明確化などです。また、外国人労働者にも日本の法律が適用されるので、税金や社会保険の手続きも必須となります。
在留カードの確認
外国人を雇用する際に、まず最初に確認すべきものは「在留カード」と「旅券(パスポート)」です。
在留カードには、カード所有者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、ビザの種類、ビザの期間、就労の可否などカード所有者の基本的な事項が記載されています。
在留カードに記載された在留資格・期間、在留期限、資格外活動許可の有無等を確認して、雇用することができる外国人であるか確認することが重要です。
外国人雇用状況の届出
外国人労働者を雇入れる際、および雇用している外国人が離職する際には、事業主はその外国人労働者(在留資格「外交」、「公用」及び特別永住者を除く)の氏名、在留資格、在留期間等についてハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を提出することが義務付けられています。
社会保険・労働保険の加入手続
外国人を雇い入れる場合、日本人と同様に加入する要件に該当する場合は、原則として社会保険・労働保険に加入させる必要があります。
外国人労働者の雇用労務責任者の選任
外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、外国人労働者雇用労務責任者を選任します。 外国人労働者の雇用労務管理を担当することを職務とし、原則として人事課長、労務課長など各事業所の管理職の中から選任します。
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