キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進することを目的とした制度です。
正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給することで、非正規雇用労働者の雇用の安定と待遇の改善を目的とします。
対象コース
キャリアアップ助成金は、大きく分けて「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2種類があり、さらに以下のコースに分かれています
- 正社員化支援
-
1.正社員化コース
就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正社員化した 場合に助成されます。
2.障害者正社員化コース
キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)は、障害者の雇用を促進するとともに職場定着を図るために、
・有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)または無期雇用労働者に転換する措置
・無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する措置
のいずれかを継続的に講じた場合、助成金を受けることができます。 - 処遇改善支援
-
1.賃金規定等改定コース
有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合に助成されます。
2.賃金規定等共通化コース
就業規則または労働協約の定めるところにより、その雇用するすべての有期雇用労働者等に、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成されます。
3.賞与・退職金制度導入コース
就業規則または労働協約の定めるところにより、すべての有期雇用労働者等に関して、賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合に助成されます。
4.会保険適用時処遇改善コース
雇用する短時間労働者に、以下のいずれかの取り組みを講じた場合に助成されます。
・新たに社会保険の被保険者要件を満たし、その被保険者となった際に、賃金総額を増加させる取り組み(手当支給・賃上げ・労働時間延長)を行った場合
・週の所定労働時間を4時間以上延長する等を実施し、これにより当該労働者が社会保険の被保険者要件を満たし、その被保険者となった場合
助成額
助成額は各コースごとに中小企業・大企業別に定められています。
具体的な金額は下記となります。
正社員化支援
1.賃金規定等改定コース
企業規模 | 有期雇用労働者 | 無期雇用労働者 |
---|---|---|
中小企業 | 80万円(40万円×2期) | 40万円(20万円×2期) |
大企業 | 60万円(30万円×2期) | 30万円(15万円×2期) |
2.障害者正社員化コース
支給対象者 | 措置内容 | 支給総額 | 支給対象 期間 | 各支給対象期に おける支給額 |
---|---|---|---|---|
重度身体障害者 重度知的障害者 精神障害者 | 有期雇用から正規雇用への転換 | 120万円 (90万円) | 1年 (1年) | 60万円×2期 (45万円×2期) |
有期雇用から無期雇用への転換 | 60万円 (45万円) | 30万円×2期 (22.5万円×2期) | ||
無期雇用から正規雇用への転換 | 60万円 (45万円) | 30万円×2期 (22.5万円×2期) | ||
重度以外の身体障害者 重度以外の知的障害者 発達障害者 難病患者 高次脳機能障害と診断された者 | 有期雇用から正規雇用への転換 | 90万円 (67.5万円) | 45万円×2期 (33.5万円※ ×2期)※第2期の支給額は34万円 | |
有期雇用から無期雇用への転換 | 45万円 (33万円) | 22.5万円×2期(16.5万円×2期) | ||
無期雇用から正規雇用への転換 | 45万円 (33万円) | 22.5万円×2期(16.5万円×2期) |
処遇改善支援
1.賃金規定等改定コース
企業規模 | 3%以上5%未満 | 無期雇用労働者 |
---|---|---|
中小企業 | 5万円 | 6万5,000円 |
大企業 | 3万3,000円 | 4万3,000円 |
2.賃金規定等共通化コース
企業規模 | 支給額 |
---|---|
中小企業 | 60万円 |
大企業 | 45万円 |
3.賞与・退職金制度導入コース
企業規模 | 賞与又は退職金制度 いずれかを導入 | 賞与及び退職金制度 を同時に導入 |
---|---|---|
中小企業 | 40万円 | 56万8,000円 |
大企業 | 30万円 | 42万6,000円 |
4.会保険適用時処遇改善コース
(1)手当等支給メニュー
企業規模 | ①1年目の取組 | ②2年目の取組 | ③3年目の取組 |
---|---|---|---|
中小企業 | 40万円(10万円×4期)※1期6カ月 | 10万円 | |
大企業 | 30万円(7.5万円×4期)※1期6カ月 | 7.5万円 |
③:基本給の総支給額を18%以上増額(賃上げ等、労働時間延長あるいはその両方による増額)
(2)労働時間延長メニュー
企業規模 | 4時間以上 | 3時間以上 4時間未満 | 2時間以上 3時間未満 | 1時間以上 2時間未満 |
---|---|---|---|---|
ー | 5%以上 | 10%以上 | 15%以上 | |
中小企業 | 30万円 | |||
大企業 | 22.5万円 |
(3)併用メニュー
社会保険加入後、1年目に(1)手当等支給メニュー①の取組を行い、2年目に(2)労働時間延長メニューの取組を行った場合も、それぞれの額(※)が支給されます。
※中小企業50万円((1)①20万円+(2)30万円)、大企業37.5万円((1)①15万円+(2)22.5万円)
対象となる事業所(各メニュー共通)
①新たに社会保険の被保険者とした対象労働者を、メニュー毎に定める支給対象期間の期間以上継続して雇用し、当該労働者に対して同支給対象期分の賃金を支給した事業主
②新たに社会保険の被保険者とした対象労働者について、基本給および定額で支給されている諸手当を社会保険の適用前と比べて減額していない事業主
③新たに社会保険の被保険者とした対象労働者について、基本給および定額で支給されている諸手当を社会保険の適用前と比べて減額していない事業主
④新たに社会保険の被保険者とした対象労働者について、社会保険加入状況(労働時間延長の措置を講じる場合は、週所定労働時間含む)を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主
その他に各メニューごとに事業所・従業員の要件が定められています。