こんにちは、SKY労務・行政書士・診断士事務所です。
令和6年10月1日より「代表取締役等住所非表示措置」が施行されます。
それでは、代表取締役等住所非表示措置とはどのような制度なのでしょうか。
代表取締役住所の登記
従来、法人の代表取締役の氏名と住所は、会社法第911条第3項第14号により登記事項として定められてきました。これは、会社の信用情報の一つとして、また登記懈怠や訴訟などのトラブル発生時の連絡先として重要とされていたためです。
近年、個人情報保護やプライバシーの重要性が高まる中で、代表取締役等の住所が公開されることへの懸念が強まってきた背景があり、代表者の住所を非表示にできる「代表取締役等住所非表示措置」が施行されることとなりました。
代表取締役等住所非表示措置
2024年10月1日から、代表取締役等の住所の一部を非表示にすることができる「代表取締役等住所非表示措置」が導入されます。
代表取締役等住所非表示措置の申出
代表取締役等住所非表示措置は自動的には住所が非表示とはなりません。代表取締役等住所非表示措置を講ずることを希望する場合は、登記官に対してその旨申し出る必要があります。
なお、代表取締役等住所非表示措置の申出は、設立の登記や代表取締役等の就任の登記、代表取締役等の住所移転による変更の登記など、代表取締役等の住所が登記されることとなる登記の申請と同時にする場合に限りすることができます。
また、代表取締役又は代表執行役の重任の登記や本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新本店所在における登記であって、既に登記されている代表取締役又は代表執行役の住所から変更がない場合であっても、代表取締役等住所非表示措置を申出をすることができます。
非表示措置後の住所表示
この措置を申し出た場合、登記事項証明書等では、代表取締役の住所は最小行政区画(市区町村)までしか記載されなくなります。例えば、「大阪府豊中市」までの表示となります。
住所を非表示とすることの注意点
住所を非表示とすることによりプライバシーの保護が期待できますが、企業活動等への影響も考慮する必要があります。下記は総務省のホームページに記載されている注意書きです。
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないこととなるため、金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増えたりするなど、一定の影響が生じることが想定されます。
そのため、代表取締役等住所非表示措置の申出をする前に、このような影響があり得ることについて、慎重かつ十分な御検討をお願いいたします。
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合であっても、会社法(平成17年法律第86号)に規定する登記義務が免除されるわけではないため、代表取締役等の住所に変更が生じた場合には、その旨の登記の申請をする必要があります。
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合であっても、登記の申請書には代表取締役等の住所を記載する必要があるため、登記されている住所について失念することのないよう御留意ください。