
一定の条件を満たせば乗用車やパソコンといった設備も補助の対象となることで注目を集めている『業務改善助成金』ですが、最低賃金の引き上げに対応して、令和7年9月5日よりさらに利用できる事業所の範囲が拡充しました。
これまで要件が合わず申請を諦めていた事業者様は、自社が対象となるのか改めてご確認ください。
業務改善助成金とは
業務改善助成金とは、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部が助成される制度です。
拡充された施策とは
今回の拡充の背景には、全国的な最低賃金の引上げが進行していることがあります。
中小企業等が賃金引上げを実行しながら生産性向上のための設備投資を行いやすくすることで、従業員の賃金改善と事業の生産性向上を同時に促すことが目的とされています。
今回の施策では以下の2点が拡充されました。
- ①対象事業場の拡大
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従来の制度では、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内 の事業所が対象となっていましたが、拡充された制度では、事業場内最低賃金が改定後の地域別最低賃金額未までが対象となりました。
大阪府では63円、兵庫県では64円の地域別最低賃金の引き上げが予定されているので、この範囲まで対象が拡充されたということですね。 - ②賃金引上げ後の申請
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従来では申請前に賃金引上げ計画の策定・提出が必要となっていましたが、拡充された制度では、賃金引上げ計画の事前提出が省略可能となりました。
令和7年9月5日から令和7年度当該地域の最低賃金改定日の前日まで(※)に賃金引上げを実施していれば、賃金引上げ計画の提出は不要となります。
※上記期間以外の賃金引上げは一切対象とはなりません。ご注意下さい。
申請期限
業務改善助成金の申請期限は申請期限は、申請事業所に適用される地域別最低賃金改定日の前日です。
地域別最低賃金の改定日は都道府県ごとに異なりますので注意が必要です。ちなみに近畿圏の地域別最低賃金の引上げ額、引上げ日は以下のとおり予定されています。
都道府県 | 改定後の地域別 最低賃金 | 引き上げ額 | 引上げ予定日 |
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滋賀 | 1,080円 | 63円 | 2025年10月5日 |
京都 | 1,122円 | 64円 | 2025年11月21日 |
大阪 | 1,177円 | 63円 | 2025年10月16日 |
兵庫 | 1,116円 | 64円 | 2025年10月4日 |
奈良 | 1,051円 | 65円 | 2025年11月16日 |
和歌山 | 1,045円 | 65円 | 2025年11月1日 |
※上記の最低賃金、引上予定日は投信状況のため、変更される可能性があります。
まとめ
業務改善助成金は、一般的な補助金・助成金制度では対象とならないパソコンや乗用車等についても、一定の要件を満たすことで助成対象とすることが可能である点に特色があり、多くの事業者から注目されています。
今回の制度改正により、新たに対象事業場の範囲が広がったことで、これまで申請を見送られていた事業者様にも活用の可能性が生まれました。
なお、申請期限が迫ってきておりますので、ご検討中の事業者様におかれましては、余裕を持った準備・申請を行われることを強くお勧めいたします。