令和6年度から特定短時間労働者の実雇用率の算定方法が変わります

こんにちは!SKY労務事務所です。

令和6年4月から重度身体障がい者、重度知的障害者及び精神障がい者である特定短時間労働者の実雇用率における算定方法が変わります。

1.障害者雇用率制度とは

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)

企業は「社会の公器」としての側面もありますので、障害者の自立・社会参加のための重要な柱とも考えられます。
障がい者雇用の促進として、一定数以上の規模(民間企業の場合は43.5人を雇用している事業所)の事業主は、従業員の割合に対して法定雇用率(現在は2.3%)以上の障害者を雇用する義務があります。
法定雇用率を達成できない企業については納付金の支払いが発生し、雇用率を超えて障害者を雇用した場合は調整金、報奨金が支給されます。

これまでは、週20時間以上労働する障害者が法定雇用率の対象となっていました。
令和6年度の改正では、週所定労働時間が10時間以上、20時間未満で働く重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者も法定雇用率の対象となりました。
対象となる方は、長時間働くことが難しいと思われ、企業にとっても法定雇用率に算定されないため雇用しにくい側面がありました。今回の改正によって障害者雇用が促進されることが期待できます。

2.法定雇用率の算定方法

法定雇用率は上記の表となります。
具体的には、週10時間以上20時間未満で働く特定短時間労働者を1人雇用した場合、
法定雇用率の算定にあたり、0.5人とカウントできるようになります。

3.障害者雇用納付金、調整金、報奨金とは

障害者雇用納付金

障害者雇用納付金とは、企業が本来雇用する必要がある障害者の人数が、法定雇用率から算出される人数を下回っていた場合、常時雇用している労働者数が100人を超える事業主は、不足する障害者1名に対して毎月5万円を納付する義務を負います。なお、この財源を基として、障害者雇用調整金、報奨金が支払われる仕組みとなっています。

障害者雇用調整金

障害者雇用調整金は、常時雇用している労働者数が100名を超える事業主で、法定雇用率を超えて障害者を雇用している場合に給付されます。
これまでは、法定雇用率を超過する障害者1名に対して毎月29,000円が給付されていましたが、令和6年度実績(令和7年度の支払分)からは支給対象人数が10名を超えると、1名につき23,000円に減額となりました。

障害者雇用報奨金

障害者雇用報奨金は、常時雇用している労働者数が100名以下の事業主で、雇用する障害者数の年度合計数が、全労働者の年度合計数の4%または72人のいずれか多い数を超えて障害者を雇用している場合に給付されます。
これまでは、必要な障害者の雇用者数を超えた人数に対し、1名につき21,000円給付されていましたが、令和6年実績(令和7年度支払分)からは、1名につき16,000円に減額となりました。

障害者を雇用することにより、仕事の進め方を変更する必要が発生して、全体的な業務改善につながった事例もあります。
障害者雇用調整金や報奨金の金額が減額されたことは残念ですが、助成金の新設・拡充等も予定されています。
人手不足はこれから益々深刻な状況になると思いますので、障害者雇用も検討されてみてはいかがでしょうか。

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