令和8年度に新たに創設された大阪府の「利益率向上・賃上げ支援事業」は、従来の「テイクオフ支援事業」を発展的に見直した制度として注目を集めています。
令和8年8月6日、大阪府より本事業の採択結果が公表されました。
利益率向上・賃上げ支援事業とは
「利益率向上・賃上げ支援事業」とは、物価高騰や最低賃金の引上げなどにより厳しい経営環境に直面する大阪府内の中小企業等を対象に、生産性向上や収益力強化を通じて“稼ぐ力”の向上を図り、持続的な賃上げの実現を支援する制度です。
第1回公募の採択結果
採択結果は以下となります。
| 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|
| 2,508 | 737 | 29.38% |
採択率は30%を下回る厳しい結果となり、本事業の競争率の高さがうかがえます。補助上限額が最大500万円へと大幅に引き上げられたことに加え、利益率向上と賃上げの両立を支援する新制度として高い注目を集めたことから、多くの事業者が申請したものと考えられます。
業種別採択数
それでは、業種別の採択状況を見ていきましょう。ここでは、申請件数が特に多かった上位5業種について、申請数・採択数・採択率を一覧でまとめました。どの業種で申請が集中し、どの程度の採択率となったのかを確認していきます。
| 業種 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 621 | 290 | 46.6% |
| 卸売業、小売業 | 383 | 104 | 27.1% |
| 建設業 | 308 | 91 | 29.5% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 231 | 36 | 15.5% |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 201 | 52 | 25.8% |
業種別の採択状況を見ると、製造業は申請件数・採択件数ともに他の業種を大きく上回る結果となりました。
本事業の公募要領を確認する限り、特定の業種を優遇するような方針は示されておらず、幅広い業種を対象とした制度設計となっています。しかし、実際の採択結果を見ると、製造業の採択割合が高く、結果的に製造業が有利な傾向となりました。設備投資による生産性向上や業務効率化の効果を数値で示しやすく、補助事業による成果を審査側に伝えやすかったことが影響した可能性があります。
一方で、サービス業については採択率が15.5%にとどまり、非常に厳しい審査結果となりました。申請した事業者のうち、約6〜7社に1社程度しか採択されていない計算となり、採択ハードルの高さが際立っています。
まとめ
以上、大阪府の「利益率向上・賃上げ支援事業」の解説でした。
本補助金は補助上限額も大きく、賃上げを行う事業者にとって人気の制度となりましたが、想定を上回る申請件数となったことで、事業計画の完成度や実現可能性などがこれまで以上に厳しく審査されたものと推測されます。
今後申請を検討される事業者は、制度要件を満たすだけでなく、説得力のある事業計画を作成することが採択への重要なポイントとなるでしょう。
