兼務役員雇用実態証明書で役員でも雇用保険の加入が可能?

一般に、取締役や代表取締役といった会社役員は、労働基準法や雇用保険法上の「労働者」には該当せず、原則として雇用保険や労災保険の対象外とされています。
しかしながら、役員であっても実質的に従業員と同様の業務に従事し、労働時間の管理を受け、会社の指揮命令下で働いている場合には、「兼務役員」として労働者性が認められ、雇用保険や労災保険への加入が認められる可能性があります。

目次

兼務役員とは

役員は会社の経営に関与する立場であり、労働基準法や雇用保険法における「労働者」には該当しません。そのため、役員報酬に対しては雇用保険や労災保険の適用はありません。

会社の役員と同時に部長、支店長、工場長等の従業員としての身分を有しており、かつ会社の指揮命令下で労務を提供している場合、服務態様、賃金、報酬等からみて、「労働者性」が認められることがあります。こうした立場にある者を「兼務役員」と呼びます。

兼務役員として雇用保険に加入するには

兼務役員として労働者性が認められれば、当該労務部分については雇用保険の被保険者となることが可能であり、労災保険の対象となることもあります。もっとも、その認定には、職務内容や報酬体系、労働時間の管理状況など、実態に即した客観的な証明が求められます。

兼務役員として届出する際の主な必要書類は以下となります。
・兼務役員雇用実態証明書
・定款
・登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
・賃金台帳(3ヵ月分)
・出勤簿(3ヵ月分)

参考までに、大阪労働局の兼務役員雇用実態証明書は以下の様式になります。

提出書類はハローワークによって異なる場合がありますので、事前に管轄するハローワークにご確認ください。
なお、各書類は実態が確認できることが最重要です。形式的に整っていても、実質的な労働者性が認められない場合は、加入が認められません。

まとめ

ご自身が役員のため雇用保険の加入を諦めている方も多いのではないでしょうか。
雇用保険は、失業した際の給付や育児・介護休業給付など、労働者の生活安定や福祉向上に欠かせない制度です。したがって、役員であっても従業員と同様に労働に従事している場合は、保険加入を検討したいところです。

また、労災保険と同様に、雇用保険の適用を受けていることで、従業員と兼務役員の双方に安心感が生まれ、万が一の際のリスクヘッジにもつながります。経営者としては、兼務役員の実態を把握し、労働保険適用の適正化に取り組むことが、健全な企業運営の一環となるでしょう。

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