こんにちは、SKY労務・行政書士・診断士事務所です。
業務で車を利用する際は会社の自動車を利用することが基本となりますが、利便性や経済性を考慮して従業員のマイカーを業務に使用し、その対価として自動車手当※などの手当として一定額を支給している会社も多いかと思います。
※手当の名目は会社によって異なりますので、このページでは「自動車手当」として統一します。
それでは、自動車手当を支給した場合に割増賃金の計算はどのように行うのでしょうか。
割増賃金の基礎となる賃金
割増賃⾦の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金額」です。
月給制の場合は、各種の手当額を含めた月給を、1カ月の所定労働時間で割り、1時間当たりの賃金額を算出します。
ただし、労働と直接的に関係が薄く、実費弁償的な手当を賃金に含めるのは適切ではないため、以下の①~⑦は基礎となる賃金から除外することができます。(労働基準法第37条第5項、労労働基準法施⾏規則第21条)
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
ただし、上記の①~⑤の手当であっても、全て割増賃金の基礎となる賃金から除外できるというわけではありません。
例えば家族手当の場合、扶養家族1人あたり〇〇円など家族の人数によって支払われる金額が異なる場合は割増賃金の基礎となる賃金から除外できますが、扶養家族の有無や家族の人数に関係なく一律に支給されているものは、例え家族手当という名目で支払われている場合であっても割増賃金の基礎となる賃金に含まれます。
手当の名目ではなく、実際にどのように支払われているのかによって割増賃金の基礎となる賃金に含まれるのかが決まるということですね。
自家用車を使用する場合は
それでは、従業員の自家用車を使用する場合の自動車手当は割増賃金の算定に含まれるのでしょうか。
この場合も手当の名目ではなく、どのように手当てが支給されているかによって割増賃金の基礎となる賃金に含まれるかが決まります。
自動車の走行距離や使用したガソリン代、加入している保険料など使用状況によって明確な支給基準が決められており、支給される手当が実費弁償として妥当であれば割増賃金の基礎となる賃金からは除かれます。
逆に走行距離や使用状況などは一切関係がなく、一律に手当てが支払われている場合は割増賃金の基礎となる賃金に含まれることになります。
このような自動車手当を支払われている事業者様は、残業や休日出勤などの割増賃金を計算される際はご注意ください。