
事業再構築補助金の後継制度である「中小企業新事業進出補助金」。
中小企業の新規事業展開を支援する有用な制度である一方で、本補助金における「新事業」の定義や求められる新規性の水準については、公募要領だけでは明確に読み取れない点も見受けられます。
そのような不満の声があったのかは分かりませんが、新事業進出補助金のホームページに「新市場・高付加価値事業の考え方」についての資料が公開されました。
中小企業新事業進出補助金とは
中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進補助金)とは事業再構築補助金の後継として令和7年度より新しく設けられた制度で、新市場・高付加価値事業への進出や賃上げに取組む中小企業に対して、対象となる事業に係る経費の一定割合が補助金として支給される制度です。
中小企業新事業進出補助金の詳しい内容についてはリンク先ページをご参照ください。
新事業進出要件とは
中小企業新事業進出補助金を申請するための要件として、「新事業進出指針に示す『新事業進出』の定義に該当する事業であること」と定められています。
「新事業進出」の定義については、中小企業庁が作成した「新事業進出指針」に示されており、その具体的な内容は「新事業進出指針の手引き」に記載されているのですが、やや解釈に迷う表現も見受けられました。
今回公開された「新市場・高付加価値事業の考え方」とは
「新市場」の要件については、これまで抽象的で分かりづらいとの声も多かったためか、今回新たに公開された資料では、「新市場」および「高付加価値事業」の考え方が、従来の「新事業進出指針の手引き」よりも具体的かつ実務的な水準にまで整理・明示されています。
新市場性とは
「新市場・高付加価値事業の考え方」で示された新市場のジャンル・分野の区分の仕方として以下の記載があります。
・新市場性の審査にあたり、新規事業により製造する新製品等のジャンル・分野を特定する必要があります。
・ジャンル・分野を区分する際には、製品等の「性能」「サイズ」「素材」「価格帯」「地域性」「業態」「顧客層」「効果」等の要素は排除したものである必要があります。
上記の内容から、新市場性の審査では展開を目指す新規事業において、どのような製品・サービスを提供し、それがどのジャンル・分野に属するのかを明確に特定することが求められることが見受けられます。
高付加価値性とは
「新市場・高付加価値事業の考え方」で示された高付加価値性の説明として以下の記載があります。
補助事業で取り組む事業の内容が、同一のジャンル・分野の中で、高水準の高付加価値化を図るものであるかを審査します。
つまり、補助事業で取り組む内容が、これまでと同じジャンルや分野の中で、より高度な付加価値を生み出す取り組みとなっているかどうか審査されるということです。つまり、既存分野における製品やサービスの質を一段階引き上げるような、技術性や独自性、収益性の向上が見込まれるかが重要な判断基準となります。
まとめ
「新市場」や「高付加価値」といったキーワードは、補助金審査において重要なポイントです。今回公開された資料では、これらの考え方が以前よりも具体的に整理されており、事業計画を作成するうえでの大きなヒントになります。公募要領や関連資料をしっかり読み込んだうえで、自社の強みや成長の方向性を明確にし、補助金の採択につながる計画書づくりに着手していきましょう。
なお、当事務所では、中小企業新事業進出補助金をはじめとする各種補助金の申請支援を行っております。制度の選定から事業計画書の作成、申請後のフォローまで、実務に精通した専門家が丁寧にサポートいたします。ご相談はお気軽にお問い合わせください。